電気柵ワイヤーの続きです。
前回は電気柵を張る高さの基本をお話ししましたが、今回はワイヤー自体の話です。
ワイヤーには電気抵抗があって、長距離の電気柵を張る場合は注意する必要があることは既に書きましたので、割愛します。
今回は色についてです。
ホームセンターで電気柵のワイヤーが売られていますが、白かったり、オレンジだったり青だったり、いろいろあります。これらのワイヤーは野生動物にどのように見えているのでしょうか?
電気柵のワイヤーは目立つ必要があるので、目立つ色が一番電気柵の効果が上がるのでしょう。
イノシシについてですが、イノシシに一番目立つ色は「青」だということで青い電気柵ワイヤーが何年か前に登場しました。
確かにイノシシはブタと同じ動物でブタと同じに見えていると思いますが、ブタの目は網膜の光を感じる細胞の構造など、人間で言えば赤緑色弱(古い言い方ですみませんが、この言い方がよく分かると思いますので)の方の見え方に近いようです。赤や緑は区別が付きづらく、青から紫に高い感度があって、青い色の細かな違いはよく分かるようです。
ですから、青いワイヤーには科学的な根拠がありますし、実際に実験された方も、実験結果から電気柵の線も青が一番よく分かるようだと言っておられました。
ところが、ブタは夜行性ではなく、目の構造も人に近く夜行性動物の目とは違います。
ここからは私の推論になりますが、皆さんも暗いところでは色(彩度)の違いはよく分からず、黒っぽいか白っぽい(明度)かが分かるモノクロの世界になると思います。ブタも同じで、暗いところでは明度の違いが最も分かりやすいのだと思います。
つまり、昼間のイノシシであれば、おそらく青色は有効だと思いますが、夜間のイノシシは背景が黒っぽい場合は明度が一番高い「白色」が最も有効であろうと思います。というわけで私の考えは「白」いワイヤーが最も有効であるという結論です。
先に研究しておられる方が、「青い」電気柵ワイヤーが最も有効と言っておられたと書きましたが、これについてはどなたかぜひ検証実験をしていただきたいと思っています。
シカについてですが、シカはウシと同じように見えているようです。色彩は分からず、昼間でもモノクロの世界です。その場合、背景の明度が低ければ(黒っぽければ)「白色」、背景の明度が高ければ(白っぽければ)「黒色」ということになるのでしょう。背景が白っぽいというのは下から空を見上げたときなど限られた場合だけなので、やはりシカやウシに最も適したワイヤーの色は「白色」になると思います。
シカもウシも大きな目をしていますが、結構近眼で、柵の線がよく見えないことがあります。その場合、ワイヤーの色が白いだけでなく、太くて遠くからでも見えた方が電気柵の効果が上がるので、しばしば太い4mmのワイヤー(通常は2~3mm)や幅が10mm程度の平たいリボンワイヤーを使うこともあります。効果は高いですが、風に弱かったり、設置や撤収が少し大変だったり(重いです)、結び目がうまく繋がりにくかったりで、なかなか大変な部分があります。
また、シカやウシに柵がここにあるということを分かりやすくするために、支柱は白い物を使われることと、必要があれば、支柱を立てる間隔を狭くして、「ここに柵がある」ということが動物によく分かるようにすることをおすすめします(支柱が電気柵設置のコストの中で一番高いので、財布と相談することになりますが)。
白いワイヤーは安価な電気抵抗が高い物が多く、太さが3mm程度の電気抵抗が低い白一色のワイヤーがあれば良いなと思います。しかし、白一色は何となく安っぽく見えるからでしょうか、電気抵抗が低い高価なワイヤーは白に赤とか緑とか青とかの色が入ったシマシマ模様だったりします。残念。
わが家の周りのイノシシは人間のいなくなる夜半に主に活動をしているようですが、青と黒のしましま電線でもよく止まっているようです。
と言っても、最近電線を買いに行くと赤の太い線か青の線しか売っていないし、我が家は青黒の線しか使っていないので色の違いを比べてみたことはありません。
わが家の周りの電気柵は電灯線から取るタイプの電牧器に繋がっているので、そいつ(イノシシ)がかつて触ったときによっぽどひどい目にあって用心深くなっているかもしれません。
太い電線がよく認識されるというのは思い当たる節があります。
イノシシ用二段の柵線を張り替えようということになったときに、二本あるうち下の線を上の線と一緒にして、上段は二本を一緒にして張り、下の段だけに新しい線を使ったところイノシシが近寄らなくなったことがあります。
二本を一緒にしたせいでくたびれた線でも漏電しにくくなって喜んでいたんですが、もしかしたら一本から二本になって見えやすくなっていたということもあるのでしょうか?
もともと青かった線が日に焼けて白くなっていたのもよかったのでしょうか??
もっとも見えやすくなった電気柵をイノシシが嫌ったのか、単に悪さをしていたイノシシが近くからいなくなったのかはよくわかりませんが・・・
確かに見えやすいリボンワイヤや太い線は一巻き当たりの距離も伸びないし、お金もかかりそうです。
支柱についてはたくさん立てると、それこそ費用と設置の手間、運ぶ重さも増えますから、よくやられるところを目立たせるのもいいかもしれません
支柱を目立たせるといえば、福留さんが以前はがきかチラシに載せておられた、地面に刺さずに浮かせる支柱を目立たせるのも効くかもしれないと思いました。
後、目立たせるためという意味では、車の出入りするところに線を張ったときは、人間にも見えるようにしておかないと、軽トラが電気柵を壊してしまったり、イノシシ用の電気柵に人間が引っかかったりしてしまうというのもちょくちょくありました。
夏の汗をかいたときに引っ掛かる電気柵は人間にもよく効きます。(泣)
いつもコメントありがとうございます。
古いつぎはぎだらけの線に沿わせて、新しい線を張るのは良い方法です。冬期の降雪のために撤収する必要がなければ、そのまま使ってもかまわないと思います。
要は、最初に動物が電気柵に遭遇したときに「電気柵はとても痛かった」と認識してもらうことが大事で、認識してさえもらえればそれでほとんど電気柵の任務は達成されたと言って良いと思います。
目立たない電気柵の場合、・・・動物「何か分からんけど痛かった」 → 次回電気柵に遭遇したときに電気柵を恐れない。
十分な電力が供給されていないとき・・・動物「これピリピリする?」 → 次回電気柵に遭遇したときに電気柵を恐れない。
おっしゃるとおり、「目立つ」と、「十分な衝撃」の両方を改善できるので、古い線に新しい線を追加するのは良い方法だと思います。
電線のたるみについて
電気柵の電線の管理をしていて動物たちは線がたるむとすぐに入ってきたような印象を受けています
ぴんと張ってある電線には触りもしないのに線のたるんだところは出入り口にされることが多い気がしています
奴らが、たるんだ電線は効かないと思っているのかどうかは不明ですが
まあ、線がたるむときは草刈りもきちんとできていなくて漏電している可能性も高いのですが
コメントありがとうございます。
この電気柵の「たるみ」も色々なご意見を頂きます。
ある方は、たるんだ電気柵は「動物がバカにする」とおっしゃいました。
実際にたるんだ電気柵は動物に侵入されやすい気がします。
原因はおっしゃるとおり、管理が行き届いていないので侵入される傾向が高いというのは間違いないだろうと思います。
そのほか、これは私の推測ですが、ピンと張った線(ヒモ、蔓など)というのは自然界にはほとんど存在しないので、野生動物にとってはそれだけでとても不自然に見えて警戒するのではないだろうかと思います。
野生動物の警戒心は個体によって様々で、わずかに人の気配を感じるだけで来なくなるものもいますが、何があろうとあまり警戒しない個体もいます。警戒心の高い個体が来なくなるだけでも侵入される確率はぐっと下がるので、ピンと張った電気柵の方が効果が高いのではないだろうかと思っています。あくまで私の推測ですが。
雪が少なくなってしばらくすると山から鹿が下りてきます。
電気柵のワイヤーはまだ雪の中、本機の電源も切ってあります。
田んぼの地面が見え始めると顔を出したキャベツや白菜など冬野菜のてっぺんをかじっていくやつが出始め、少し気づかずにいると群れが来てあっというまにやられてしまいます。
ワイヤーが雪の下にある間は電気を入れても仕方ないのですが雪が解けるのは一様では無いため電気を入れるタイミングを計るのがなかなか難しいです
来年は高さを工夫して雪から顔を出した高さの線から順番に本機に繋いでいこうかなあ
電気柵のところだけを除雪するのも何だかなあと、この時期いつも思います。
降雪は頭の痛い問題です。
雪が降らなければ年中張りっぱなしでも良いのですが、雪が降ると漏電の問題以外にも、柵が雪に押さえられて支柱や留め金具の破損や断線が発生してしまい、補修の手間と部品の買い換えで精神的にも金銭的にもダメージが大きいです。
対策としては降雪前の柵下ろしと、融雪後の柵上げということになります。が、言うのは簡単ですが、やる方としては、降雪前の柵下ろしや柵上げは本当に大変です。ましてや、雪の予報が出てからみぞれが降る中で作業するなんて本当に避けたいところです。
以前は、冬期間に降雪がある場合は電気柵を撤収するのが常識でした。水稲の電気柵であれば冬期間に電気柵が無くても作物への被害は無いのですが、裏作に飼料を作っていたり、畦畔の掘り返しを防ぐためには冬期間も通電しておきたいという要望はあります。
対処法としては、降雪前に柵を下ろすのは仕方がないとして、上げるときに、面倒ですが、雪の影響が無い上の柵線から上げていき、下の柵線は上げられるところだけ上げるという方法や、下の柵線にはフラッドゲートコントローラーという漏電対策のデバイスを取り付けておくという方法があります。
最近おすすめしているのは、フェンシングワイヤー(高張力鋼線)の電気柵です。柵の上げ下ろしが少ない人数でも劇的に速くなりますし、物理的にも強固です。少々の雪でしたら、柵を下ろさなくても耐えることができます(大雪はダメです碍子が壊れます)。柵の曲がる部分が少なければ、普通のポリワイヤーの電気柵よりも安価にできる場合もあります。
フェンシングワイヤーの難点は、施工するときに支柱を打ち込むのが大変なのと、どうしても施工に専用の道具が必要になることです。今後も永く農業を続けられる方には、耐用年数も長いので、超おすすめです。ここのところ飼料価格などが上がってきており、飼料作物の栽培が脚光を浴びていますが、イノシシやシカの対策がどうしても必要になります。管理が簡単なフェンシングワイヤーの電気柵をおすすめします。
ちなみに自家の野菜畑程度でしたら、出力が大きな電牧器を接続しておけば、少々の漏電があっても防ぐことができます。目安としては、漏電や動物の電気柵慣れの程度もありますが、200mで出力1ジュール程度かなと思います。
やっぱり雪が積もると漏電しますよねえ
畑だと丈夫な杭や恒久柵も作りやすいんですが、水田転換畑はやはり地面が柔らかくて柱を立てても線を張るとすぐに傾いてしまいます。
あまり頑丈なものを立てると農作業の時に邪魔になりますしねえ
雪がある中での電気柵の設置撤去は大変ですね
雪が減り始めたら作業をするというのがいいようですがこの時期は積もったり解けたり、
動物の足跡をきちんと観察して作業をするとういうことになりそうです
イノシシ柵くらいの低い柵だと、FRPポールにフックをつけ、ワイヤーをフックで固定せずにひっぱれるように通して、約100mに一か所ばねで引っ張るということをやっている畑もあります。
雪が降って線がたるんでも解ければ元に戻りますし、作業などで少々ひっかけても線がたるまずに元に戻るのでなかなかいいです。
ばねはゲートフックのばねの伸びたやつを再利用してます
降雪に対して、何とかならんものかいろいろ考えました。フェンシングワイヤーの電気柵とポリワイヤーの電気柵で降雪に対して管理が楽になる方法を思考したいと思います。使い物になるかどうか分かりませんが、いろいろな腹案はできました。次にそれを形にするように試行錯誤していきます。
是非またいろいろと厳しいコメントをいただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
いろいろ考えていただきありがとうございます
期待して待ってます