ソーラーパネルと電気柵

電気柵の電源は主に、乾電池、バッテリー、100Vの3つがあります。100V(商用電源)を電源にするのが、コスト的にも安く、安定していて、メンテナンスが楽で、一番お奨めです。

ですが、普通は田んぼにコンセントはありません。多分、ほとんどの方がソーラーパネルからバッテリーに充電して電源にしておられると思います。

ソーラーパネルですが、光エネルギーを電気エネルギーに変換する物ということは皆さんご存じだと思いますが、正しい使い方というか、特性についてはよく分からないのではないでしょうか。

 

曇った日でも発電するのか? とよく聞かれます。電話の向こうの質問者は長い説明を聞かされるのはゴメンでしょうから「ダメですねぇ~」とだけ答えます。結論から言うと、「『直射日光』がパネルの『全面』に当たっていないとバッテリーには充電されません。」(厳密に言うと正しくはないですが)

 

 

電気柵のソーラーパネルはバッテリーに直接繋がっておらず、ほぼ全ての機種で「充電コントローラー」という機器を通して充電されています。充電コントローラーは早い話が充電器で、ソーラーパネルで発電された電気をバッテリーが要求する充電電圧まで電圧を下げて充電させる役割を持っています。

曇りの日など、ソーラーパネルの電圧が低くてバッテリーの充電電圧にまで達しないので、充電されません。それから、果樹園などでよくあるのですが、ソーラーパネルに木の葉っぱの陰がある場合、木漏れ日で充電しそうなものですが、この場合も十分な電圧が得られず充電されません。

電気柵のソーラーパネルを見ていただくと、小さなソーラーパネルのセルが三十数枚並んでいると思います。一枚一枚のセルは1V(ボルト)以下の発電能力しかなく、それらを直列接続して所定の18Vとかになるようにしています。直列接続なので、その中の1枚でも葉っぱの陰で発電しないと、その1個が抵抗器になってしまい、ソーラーパネルの出力電圧がガクンと落ちます。もしテスターをお持ちなら、天気の良い日にソーラーパネルの一部を手で覆って電圧を測定してみてください。

ですから、十分な電圧を確保するためには全面に直射日光が当たっていないとダメなのです。

 

実は、高級な充電コントローラーなら低い電圧でも充電されるように昇圧機能を持っている物もあります。このようなコントローラーは一般的に高価で大きいので、普通は電気柵には使われていません(当社では大型の電牧器で使用することもあります)。

 

4件のコメント

そうか、ソーラーパネルは一枚でも発電はするけど全体に十分な光が当たらないと充電はできないのですね。
電気柵を仕掛ける必要のある所はどうしても山際が多いので設置場所を考えなければいけないですね

ところで、ソーラーパネル付きの製品で数年前、日照不足が続いたときに、バッテリーが放電してしまったことに気づかずに被害が出たことがありました。
そういう場合、バッテリーがまだ生きているかどうかを調べるのは、定期的な点検しかないのでしょうか?

わが家はソーラーパネルがついていない電気柵機なので、薄暗くなった時に動作ランプを確認するようにしているのですが、ソーラーパネルにするとそれを忘れてしまいそうです

毎度です。

山際のソーラーパネル電気柵は要注意です。深夜止まっているのに気付いていないだけということも結構あります。

対処方法はマメなチェックということになります。水稲の場合は水管理があるので圃場に行く機会が多いですが、飼料畑などはほとんど行かないので止まっていても気付かないことが多いと感じます。

実は、当社が扱っている商品で「フェンスアラート」というのがあります。電圧が設定値以下になると赤ランプが光るスグレモノです。しかも安価です。結構明るく点滅するので、特に夜間は遠くからでもよく見えます。

この「フェンスアラート」を圃場の普段行かない所に取り付けておくと、夜に車で圃場に行きさえすれば、圃場の向こう側まで通電しているかどうか一目で分かります。

ただし、電牧器を夜間だけ通電する設定にしていると、「フェンスアラート」は昼間点灯しっぱなしになり、内部の電池が消耗してしまいますので、24時間通電の電気柵の場合しか使用できません。

バッテリーに話を戻しますが、バッテリーの劣化や放電具合をわざわざチェックするのは面倒ですし、特に、ソーラーパネルと併用している場合は昼間にバッテリーの電圧を測定しても放電の状態を正しく把握するのは難しいです。

バッテリーチェッカーを使用してバッテリーの内部抵抗を測定すると大体正確な状態を把握できますが、お持ちで無い場合は、曇天が続いてちょっと心配になってきたら、バッテリーを持ち帰ってから電圧を測定するなどして個々のバッテリーがどのような状態なのか把握し、充電器で充電するのが現実的な方法だと思います(バッテリーの放電具合と電圧の関係はまた今度にします)。

また余談になりますが、ソーラーの電牧器のバッテリーは、24時間通電で2週間は保つようなバッテリー容量を選択するのが良いと思います。1ヶ月程度保つと申し分ありません。具体的には、出力1ジュールの電牧器は12Vでおおよそ0.1Ah(アンペア時)の電力を消費します。2週間保つということは、0.1(Ah)×24時間×14日=33.6Ah(アンペア時)のバッテリーを選択されるのが良いということです。1ヶ月保つようにするなら、同様の計算で30日を掛けて、72Ahということになります。大きいのは良いことですが、バッテリーの重量が大きくなり、値段も高くなるのが悩ましいところです。

柵線の点検に加えてバッテリーも定期的にみてやることが大事なのですね
やはりある程度の機械があると便利ですねえ

残念ながら、定期的に見てやる必要はありますね。楽をしようと思えば、大きなソーラーパネルと大きなバッテリーにすれば良いのですが、残念ながら値段がぐっと上がります。

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