ファイバースタートは高価なエサ?
数年前からファイバースタートを販売しています。ご存じない方もいらっしゃると思います。袋を開けてみるとすぐに分かりますが、良質なアルファルファのサイレージです。サイレージ・・・一般的には粗飼料・・・なのに20Kg袋で3,300円もします。現物で165円/Kgという法外な価格です。水分が約55%なので乾物に換算すると367円/Kgで、殴られそうな価格になっています。エサと考えれば全くナンセンスな価格なのですが、実はファイバースタートは名前の通り哺育期のルーメンの絨毛の発達を促す資材なのです。資材なので使い方があります。使い方が悪いと、効果が無いまま価格も高いので経営を圧迫してしまいます。上手に使っておられる方からの評判はとても良いです。具体的には、下痢が少なくなる、増体が良い、フレーム(特に肋の張り)が大きくなるなどの感想が寄せられます。また、ルーメンができるからかも知れませんが、育成期以降の自給粗飼料の食い込みが良いので配合飼料の量を少なくでき、飼料費がトータルで安くなったという話もあります。下痢が少ないので診療衛生費も少なくなったという話も聞きます。
ファイバースタートは飼料ではありますが、道具という側面もあります。道具なので、使い方は様々です。もし、離乳後のもたつきなどに困っておられるようでしたら、試してみられたら良いと思います。
放牧適地
先日、役場の方から集落周辺の地籍調査ができたので、集会所までハンコを持ってくるように案内がありました。山林の境界がきちんと測量され、とても大きな図面が畳の上に拡げられていました。全国の状況はよく分かりませんが、このあたりの山林の一筆はとても小さく、広い山林がモザイクになって区切られていました。1ha以上の土地はほぼありません。おそらくこのような場所では真面目に放牧をしようとしても土地の集積がかなり難しいだろうなと思いました。結局、放牧をやろうと思ったら公共的な場所(公共牧場の跡地や公的な山林)か、まとまった耕作放棄地しかないのだろうなと思いました。山林は荒れ、耕作放棄地も増えるのに放牧はできない。大きな矛盾を感じます。来年度から国が対策として放牧を推進するとしていますが、場当たり的に予算執行するだけで、根本的な流れは変わらないだろうなという気がします。
時代の流れ
米大統領選挙で民主党のバイデン候補の当選がほぼ確実になったようですが、4年間ご無沙汰だったTPPがそのうち復活してきそうで気になります。単に農業分野で輸入圧力が強まるだけでなく、医療、保険、知財などあらゆる分野で主権すら脅かされかねない内容の秘密外交交渉がまた復活するのかと思うと、先が思いやられます。特に、海外の市場動向に左右される畜産業界は良い意味でも悪い意味でも大きな波がやってくることだろうと思います。国内も(私は嫌いですが)新自由主義的な経営が大企業で主流となり、それに対抗するなり迎合するなりの対策が個人経営レベルでも求められるようになるだろうと思っています。なかなかやりにくい時代になりました。
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